見えないものを大切にする
松下幸之助の組織論とは
の中で『見えないものに気を配る』
について書かせていただきました。
松下幸之助さんは
「経営の成功は目に見える要因と目に見えない要因、両方を大事に考えないといかんですな」
とおっしゃっています。
氷山の一角
『氷山の一角』を調べてみると以下のように記載されています。
例:「今回摘発された事件は氷山の一角にすぎない」
出典:小学館/デジタル大辞泉
氷山が見えているのは、ほんの一部です。下に見えない大きな氷があります。
メラビアンの法則の法則をご存知でしょうか。
メラビアンの法則とは、1971年に提唱された概念で、話し手が聞き手に与える影響について「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」それぞれの観点から数値化したものです。
別名「3Vの法則」「7・38・55ルールと呼ばれることもあります。
・言語情報(Verbal)-7%
・聴覚情報(Vocal)-38%
・視覚情報(Visual)-55%
言語情報 ー 言葉そのものの意味。話す内容。
聴覚情報 ー 声の質。話す速さ。声の大きさ。口調。
視覚情報 - 見た目。表情。しぐさ。視線。
なんと話す内容、言葉の意味は相手から見ればたった7%しかない。それよりも声の質や口調や声の大きさ、見た目や表情や視線などから判断しているという法則です。
会話の中で言葉よりも大きなウェイトを占めているのが、聴覚・視覚情報です。その聴覚・視覚情報に影響を与えるのが、まさに氷山の目に見えない部分、つまりその人の生き方、哲学、想い、考え方、姿勢、心構えです。
「段取り八分」という言葉があります。仕事を進めるうえで、事前の準備がいかに重要かを表した言葉です。これも氷山の一角と同じで、目に見えない段取りがあるからこそ、仕事がの成功があるという考え方です。
この世のすべては目に見えないものと目に見えるものが存在します。どちらのウェイトが大きいかというと間違いなく目に見えないものです。目に見えないものを『本質』と呼ぶことができます。
人はどうしても目に見える部分に囚われがちです。目に見えるものばかりを追ってしまい、ものごとの本質を見抜けない。
見えないものは大切なのですが、とても言葉にしづらい、という点があります。
『本質』というのは『なぜ』『WHY』と置き換えることができます。
アメリカのベストセラー作家のサイモン・シネック氏は本質の重要性についてゴールデンサークルとして語っています。
なぜAppleは他のコンピュータメーカーとは異なり圧倒的な支持を受けたのか。
日本のメーカーでは、井深大さん、盛田昭夫さんが率いていたソニー。そして本田宗一郎さんと藤沢武夫さんが率いていたホンダ。
この3社の他のメーカーの違いは目に見えないものが圧倒的に大きかったです。
他のメーカーからは出てこない圧倒的な独創的なモノづくり。それは製品という見えるものは目に見えない情熱や想い、未来をつくる想像力があったからです。
スペックだけで相手を判断すると痛い目を見る
これは車やコンピューターに限らず、採用や結婚にも当てはまります。
たとえば車。700馬力が出るエンジンで、使われているパーツ一つひとつが最高級品のものであれば最高の車になるでしょうか。
どんなに馬力があってもそれらを活かせる設計になっていなければ最高の性能を発揮することはできません。設計がきちっとできていないと700馬力の性能を活かすことはできません。300馬力の車に追い抜かれてしまうことなんてザラにある話です。
ブレーキ一つでも700馬力を受け止める力がある性能があっても、それを構造的に冷やす仕組みになっていなければすぐにブレーキが熱くなり、性能を発揮できないなんてことになるのです。
コンピューターも同様です。最高のCPU、メモリなどをかき集めても、熱を取り除く構造やOSとの相性など目に見えないところに配慮がなければ性能を発揮することができません。
結婚においては常々感じるのですが、どんなに高学歴で高収入でも相手のことを想う心がなければ失敗します。与える心がなければ失敗します。
目に見えることは事実でり、結果であるため重要なのは間違いありません。しかし、その事実や結果の要因はあくまでも目に見えないものなのです。
GT-Rの開発者である水野和敏さんは目に見えない本質をつかむと、
「ヒト・モノ・カネは半分、結果は倍、苦労は半分」
とおっしゃっています。
本質をつかむためには絶えず観察し、想像力と洞察力を磨き、相手のためにバカになるぐらい与えること、自分の欲を捨てることが重要だ、と水野和敏さんはおっしゃっています。
目に見えないものは大切なのですが、その本質を見極めるために自分の感性が大切です。その感性を鈍らせているのが、自己の欲・ミエ、そしてデータつまり見えるものにとらわれてしまう心が大きな要因です。
何か問題がありうまくいかない、というときは目に見えることばかりではなく目に見えない本質を探しましょう。解決のヒントはそこにあります。