チームに大きな影響を与えるライフポジション
もくじ
ライフポジションとは
ライフポジションとは、自分自身と他人についてどのように感じ、どんな結論を下していくかは『ライフポジション』という、スタンスによって決まり、以下の4つのポジションのどこかに自分の居場所を定め、そこから物事を判断し、態度を決めていくことを分類したものをいいます。
ライフポジション
1.わたしもOK、あなたもOK
I am OK, You are OK.
自他肯定
調和、共存、尊重、協力
自他ともに認めている。
自分と他人の存在価値を同じように重要なものという理想的な立場。
考え方が前向きで思いやりがある。自分を活かしつつ相手も活かそうとする。相手の立場に立って行動できる。
2.わたしはOK、あなたはダメ
I am OK, You are not.
自己肯定、他者否定
排他主義、自己愛、独善、妨害
自分勝手で相手の状況を考慮せず自己中。
強い自己愛を持ち野心家。自分に起きた問題は他人の責任だととらえたり、わがままな振る舞いをすることも。
疑い深く、攻撃的な面が強いく、責任転嫁をしがち。他人に対しておせっかいを焼きたがる。
3.わたしはダメ、あなたはOK
I am not, You are OK.
自己否定、他社肯定
自己軽視、対人恐怖、劣等感
相手のいいなりになって、自分の意見を言えない。
自分は劣ったもの、価値の低いものといった気持ちがあり、他人の要求に従おうとする。
劣等感が強く、自虐的に物事を考えがち。他人のいうことに対してすぐ謝ったり、そのまま従う傾向がある。
4.わたしはダメ、あなたもダメ
I am not, You are not.
拒絶、不信感、虚無主義、放棄
自分を見失い、自暴自棄になり、人生や社会に興味や関心を失っている傾向がある。人生なんて価値がないと思いがち。
自分は愛される価値がないし、他人も同様に価値のない存在だととらえ、人生は不毛で絶望に満ちているととらえている。
物事に対して無気力で投げやりになりがち。『人は人、自分は自分』と自分の殻に閉じこもってしまう。
人は立場や状況によってライフポジションを入れ替える
ライフポジションの理想は、『わたしもOK、あなたもOK』です。しかし、もっとも少ないのもこのポジションと言われています。
そして人は立場や状況によってこのライフポジションを入れ替える方が多い(例にもれずわたしもそうです…)。
たとえば会社では上司と接するときは『わたしはダメ、あなたはOK』で、部下と接するときは『わたしはOK、あなたはダメ』。両親には『わたしはダメ、あなたはOK』で妻と子供と接せするときは『わたしはOK、あなたはダメ』など、立場や状況で自分のライフポジションを知らない間に入れ替える人ががいます。
どうでしょうか。当てはまることはありませか。
ちなみにわたしは嫌いな上司とは『わたしはOK、あなたはダメ』というポジションをとり、徹底的にやり合い、『この人は凄いな』と思える人とはどちらかというと、『わたしはダメ、あなたOK』となり、あまり自分の意見を言わない。
チームのメンバーや部下とは『わたしもOK、あなたもOK』となり、建設的に話し合って進めていこうという傾向がありました。
ライフポジションのことを知って客観的に自分のことを見てみると、立場や状況によって入れ替えている自分がいることに気が付きました。
この生き方は、一貫性がないために人からあまり信用を得られない、また一貫性がないために自分で自分のことが嫌になるときがある、と自分で気が付きました。
できればどんな時でも『わたしもOK、あなたもOK』でありたい。ライフポジションを知ってからそう思うようになりました。
気付けたので良かったと思っています。自分を客観的に捉えるためには重要な気づきでした。
理想的なのはリーダーから意識すること
理想的にはリーダーが率先して『わたしもOK、あなたのOK』というライフポジションをとり、それをチームの中で広げていくことです。
しかし、なかなかそうはいかないことも多いでしょう。せめて気付いた人から、自分から『わたしもOK、あなたもOK』のポジションをとることからはじめましょう。
よくよく思い返すと初めてチームを任されたサッカーのコーチ時代は典型的な『わたしはOK、あなたはダメ』で指導していました。
しかし、そのポジションで指導をするとまったく部員たちがわたしについてきません。もちろん結果も出ませんでした。そこそこまではいくのですが、結果を残すというところまでには至りませんでした。
しかし、その現状を何とか打破したいと思い、さまざまな指導者の本を読みました。名指導者の共通点は『わたしもOK、あなたもOK』の立場に立って指導しているのです。
私も名指導者の本を読み、大きな影響を受けました。自分のライフポジションが明確に変わりました。その後、チームのメンバーはついてくるようになり、結果も出るようになりました。
All for one, One for all.
ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために。
これぞまさしく『わたしもOK、あなたもOK』の最高の形の一つであると思います。
人はそれぞれ多かれ少なかれ個人の目標があります。そしてチームに所属している以上、チームの目標もあります。理想的なチームの在り方は、チームの目標を達成することにより個人の目標も達成できる、という状況をいかに作り出せるかです。
これは工夫や声掛け、考え方によって可能です。指導するときは常にそうしてきました。
サッカー部を指導していたときは、高校は強豪校に行きたいという想いがあるメンバーには、チームの中で目立って点を取ってアピールしたければ、積極的に守備に参加し、チームを助けることによってパスが出てくるようになること。チーム全体のレベルを引き上げるを常に考え、行動していれば、わかる人からは必ず目に留まるようになり、スカウトがくること。結果個人の目標を達成できること。
仕事であればチームの目標を達成するためには、PCのスキル、そして考え方などをスケールアップする必要があることを伝え、それが必ず今後のキャリアに活きてくること、自分の目標達成につながることを話しました。また一人ひとりの話を聞き、チームの目標と個人の目標がどうつながっているのか、を自分の経験やこれまで見てきた周りの人の話をしてきました。
ダントツに結果を残す人は自尊心があり、他人を尊重する人です。
『わたしもOK、あなたもOK』のレベルが高い人です。
かならず人生の結果に差がつくようになります。
ライフポジションを高めるために何をしたらよいか
個人的に3つのことに取り組んでいます。
・『求める』のではなく『与えること』
・勘違いでいいので『愛されている』と思う
・関心持つ、観察する、話を聴く
です。
求めるのではなく、与えることからはじめましょう。たとえば家庭で妻にしてほしいことをお願いするのではなく、まず与える、つまり何か手伝う、ねぎらいの言葉をかける、肩をもむなどなんでもいいので、与えることからはじめましょう。
ポイントは見返りとを求めないことです。
つぎに思いっきり勘違いでいいので、人から『愛されている』と思うようにします。思い込みでおおいに結構。友達や家族から無条件に愛されていると考えるようにします。
貴重な時間を共に過ごしてくれる人は自分のことを大切に思ってくれる人です。つまり愛されているのです。ですから本当は思い込み勘違いではなく『愛されている』のです。それを実感することです。
そして人と接するときは関心持ち、観察し、話を聴くことです。それをするだけで相手の態度が好意的にコロッと変わることがあります。
ほかにも本を読むことなど方法はたくさんあります。しかし、どんな方法も心の根底に自分を大切にする、相手を大切にする、という想いがなければどんな方法も意味がなくなっていまいます。
どんなに方法論を学んでもフォース(魂)がともなっていなければ使いこなせない
です。ライフポジションのレベルを高くしましょう。かならず人生が、チームが好転します。