日本の人、文化のよさをベースにした組織・チーム作り
日本のよさは教育と文化
日本の強み、よさとは何でしょうか。
それは教育と文化にあります。
3.11の震災時。日本人の行動は世界の度肝を抜きました。
どんなに困っていても食料を配るときは整然と並びました。若い人たちはお年寄りの方を見つけると「お先にどうぞ」と言ってゆずります。後の人のことを考え、自分が必要とする以上に取ることはありませんでした。
世界はこの行動に心底驚いたのです。
なぜならアメリカやヨーロッパで同じ震災があったら日本と同じ状況にはならないことを知っているからです。
アメリカでハリケーンが起こりました。
被害を受けたスーパーに多くの人が群がり、笑顔でスーパーの商品を盗っていくのです。だれも悪いとは思っていないのかと思うほどです。
また食料を配るとなれば力が強い、若いものが押し寄せてくるので、軍隊が銃を持って並ぶように促してはじめて物資が行き届くようになります。
すべてが異なるのです。
日本人は自律的に「人のために」ということができる教育を受けているのです。これほど素晴らしいことはありません。日本人はこのことに大きな価値かけがえのない価値があることに気が付く必要があります。
これが文化になっているのです。
それがモノづくりにも反映されています。
「人のために」という細やかな心遣いが職人には当たり前にあり、それがモノに反映されているからこそ日本のモノは世界から支持されるのです。
日本の教育と文化力をチームに活かすことができれば世界を驚かすことは実は難しいことではないのです。
世界を席巻した日本のモノづくり
現在、日本のマーケットだけではなく世界的にSUVというジャンルの車が売れに売れています。SUVというジャンルを作ったのはどこの国でもない日本です。ハイラックスサーフなど新たな価値を提案したのは日本です。
また今のような全天候型オールラウンドスポーツカーを発想し、発売したのも日本です。それまでのスポーツカーはオープンカーや非日常的なスポーツカーばかりでした。2000GTやフェアレディZはそれらのスポーツカーとはまったく異なる概念をもった車でした。
ソニーが販売したウォークマンも画期的なモノでした。プレーヤーは録音付きなければいけない、という固定概念をぶち壊し、ヒットした商品です。あのスティーブ・ジョブスさんは1979年、3.5インチフロッピーを初代Macに搭載するためにソニーを訪れました。その時にプレゼントをされた「WALKMAN」にジョブス氏は感激しその場で分解したという逸話もあるほどです。
なぜそのようなことが可能だったのでしょうか。
その源泉は日本独自の「人のために」という教育や文化にあった、と元GT-R開発者の水野和敏さんはおっしゃっています。
人をモノ扱いするアメリカ型経営
Sonyが凋落したのはアメリカ型経営を取り入れたからだ、という指摘があります。
アメリカ型経営は人をモノ・コストとして扱います。その結果、どうなったでしょうか。いいまやSonyのライバルがサムスンです。
従来のSonyは世界にあって比較されない製品を創っていました。それが韓国や中国の製品と同格で比較されているのが現在のSonyです。
アメリカ型経営学=人数×時間=工数=人をモノ、コストとして扱う
従来の日本型経営=能力×伸びしろ=能数=人は人であり、無限の能力がある
アメリカ型経営は人をモノ扱いし、コストとして扱います。
しかし、日本型経営は人を人として尊重し、「事業は人となり」として経営してきました。それがSonyであり、ホンダであり、松下電器(現在Panasonic)であり、トヨタです。
現在、アメリカやヨーロッパは従来の日本を見習い、経営をおこなっています。日本も少しずつですが、アメリカ型経営から日本型経営に見直している企業があり、そのような会社は元気を取り戻しています。
スティーブ・ジョブスさんはSonyに畏敬の念を持っていたといわれています。
人の真似することが大嫌いであったジョブズさんがipod発売時の時には
「これは21世紀のWALKMANだ」
と周囲に自慢した事も知られています。
Sonyの盛田さんの訃報を聞いてアップルのカンファレンスで「盛田昭夫氏は、私とAppleのスタッフに多大なる影響を与えました。」と弔意を表しました。
緻密で繊細なモノづくりができるのは未来を見ているから
アメリカ型経営、モノづくりはマーケットをリサーチし、売れるものをつくろうとします。時間時就くは過去と現在から判断します。
しかし従来の日本のモノづくりは異なります。日本製品が絶賛されるのは緻密で繊細で行き届いているといわれます。なぜでしょうか。
職人は手にした人がどう使うか、何年後にはどうなるのか、そのためには何をする必要があるのか、など徹底的に考え抜き、それをモノに反映させます。常に時間軸は未来を見ているのです。
未来を見るためには想像力が必要です。そしてそれを形にする創造力も必要になります。
Sony、ホンダなどの偉大な企業は常に未来を見ていました。想像力、感性が豊かなのです。そのため安売り競争ではなく、価値が高いものとなるのです。
消耗品、大量生産品は時が経てば経つほど価値が下がります。しかし、職人が作ったものや想いが情熱があり、緻密で繊細につくられたものは価値が下がるどころが上がるのです。
組織・チーム作りも同様だと私は思います。
チームワークとは何でしょうか。チームワークとは「未来のビジョンや映像を共有できている状態」です。だからこそチームワークが良くなるのです。
付加価値が高い商品は未来軸で考えられており、独自性を持ちます。
今後のチーム作りの大きなヒントになるはずです。
未来軸でチームを作りましょう。未来のビジョンを共有するチーム作りをしましょう。そうすることによって付加価値の高い商品・サービスを提供できるのです。